指標発表時にこんな事が。。。
米国雇用統計の時
月の最初の金曜日、いつもの様に米国雇用統計が発表された。
その日も発表直前、いつもの様に両サイド(売り買い、Offer/Bid)のプライスが一旦無い真空状態になり、そして雇用統計の数字が発表される。
目を失った。事前の予想に反して失業率も非農業部門雇用者数も大幅に悪い数字。
直後、当然BidOfferのプライスが消えた。
何処までドルが売られるのだろう。。。
確か、発表前のレベルは10-20レベルであったはず。
そしてスピーカーから聞こえるブロカーのアナウンスは、「80-90」。
あれ、思ったほど下がってないな。
直ぐにブローカーに直接繋がっているマイクを通して言った、「Yours(売った)」。
確認のアナウンス、「2 Million at 106.80, Doneです。」
暫くすると、ボイスボックスから慌てた声で、「ダイレクトラインお願いします」と。
電話を取ると、さっきの約定は1円違っていましたと。
こちらも確認の為、コンピュータールームのテープを聞くと明らかに確認時のブローカーの間違い。
レートは覚えていないですが、つまり仮に指標発表前に現在の為替水準でみると、107円10-20銭だったとすると、私が売ったのは106円80銭と思い、ブローカーとも確認していたのが、実際は105円80銭だった訳なのです。
予想外に悪い指標の結果で大きくドルが売られていた訳でした。
確認段階で、お互い「106円80銭で2本(Million)売った」、ブローカーからは「Doneです」と。実はこの時ブローカーは思い込みで確認してしまったのでした。
つまり、確認にはなっていなかったのでした。
そんな馬鹿な。。。
通常はBig Figure(大台を言わなくても分かる)ものです。
その時は大きくプライスが動き、大台を確認していなかったと言う訳でした。
でもこんなに瞬間1円以上の間違いは最初で最後でした。それだけマーケットが荒れていたと言う事になりますが。
でも既に、2MillionUSDollar分のドルは売っていて、買い戻していてポジションスクエア(ゼロ)の状態。
1円の違いで200万円の違い。
相手のブローカーのミスとは言え、しかし彼らに負担はさせる事は出来ない。
しょうがなく一旦約定を取り消し、利益分を貸しに。
以前はそんな事が許されるある意味、悠長な時代でした。
でも今はコンプライアンスが厳しく、そんな事とてもとても出来ませんが。。。
米国貿易収支の時
毎月20日前後に発表されるアメリカの貿易収支。
アメリカ失業率(雇用統計)の発表の時より市場関係者の関心度は下がりますが、日本時間夜の発表時には、時々、顧客の要望で残っていたものでした。
ある発表の日、その日は東京のブローカーも居残ってなく、プライスもとれない。
東京からのマーケット参加者も少なく閑散模様。
ですので、プライスが必要な時はトロント本店のDealing Roomに聞くしかありません。
そんなとき、発表直後に商社からのダイレクトラインが鳴る。
電話を取ると、「今いくらですか?」とプライスを聞いてくる。
当然、東京のブローカーは残っていないので本店にロイターのトレーディングシステムでつなぐ。
少し遅れて本店から聞いたレートを顧客に見せる。
しかし、プライス提示にNothing Done(プライスが気に入らず約定の不成立)。
一旦、電話を切る。
そして再びプライスを聞いてくる。
今回もNothing Done.
中々約定が決まらない。
耳を澄ませて聞くと、電話口の向こうの商社のトレーディングルームのスピーカーからレートをアナウンスするブローカーの声が聞こえる。
「えっ、なんで。。。」
つまり商社は海外の支店と電話回線で繋ぎながら同時に海外の銀行からレートを取って来て実勢レートを知っていたのです。
実勢レートを知っていると言うバックグランドがあり、そしてプライスを聞きに電話して、こちらからの提示レートとにずれがあって有利な時だけ約定する。
これじゃぁ、絶対勝てません。。。
流石、日本の商社、抜け目は無いですね。
以前お話した自動車メーカーの取引とは大違いでした。