今回は、「時間・季節によって違う、為替相場の動き」と題しての一考察
為替の取引量は、1日の時間帯や1年の中で多い月と少ない月はあります。1日、1ヶ月、1年の単位で見てみましょう。
1日で見てみると為替の取引量が最も多いのは?(日本時間)
1.
1日→日本時間の深夜に取引量が増え、早朝は減る。
1日の内で最も取引量の多いのは、午後9時頃から翌午前2時頃にかけてです。この時間帯は欧州勢の銀行に加え、ニューヨークやシカゴの米国銀行もマーケット取引に加わり、市場は活況を呈する事になります。
市場の注目度の高い米国の雇用統計なども、この時間帯に発表されます。
取引量が増える頃を見計らって大口注文も増え、為替相場は大きく動きやすくなっていきます。逆に、取引量が少なくなるのは早朝、東京市場がオープンする午前9時までの時間です。
東海岸中心の米国の銀行も取引を手仕舞い、市場参加者が為替取引が可能なのはシドニー・ウェリントン市場だけになり、取引量は大幅に少なくなります。8時頃から徐々に取引の中心は東京市場にリレーされて行きます。
2.
1ヶ月 → 5日、10日(ゴトウ日)、月末に取引量が増える
企業の輸出入の決済が増える5日と10日や月末は、外貨(特に米ドル)の買い注文が出やすく、円安になる傾向があるとされてます。
明日8月10日(金)は正にゴトウ日。手当て買いは有るのでしょうか?今月の場合はメーカーを中心に多くの企業が夏休みに入るので既に手当てはされている可能性は高いです。
3.
1年 → 取引量は休暇や企業の決算月に大きく関係する
2月~3月→円高傾向
日本企業の多くは3月決算です。海外に子会社や現地法人を持ち、それらから利益があれば、その利益を日本に送るリパトリエーション(資金の本国還流)が多く行われます。
その為、日本企業が現地通貨(取引は相対的に米ドルが多い)を売って円を買う(米ドル売り/日本円買い)動きが多くなります。
4月から5月→円安傾向
3月の決算が終了後、日本企業が新規の取引を始める為、米ドル買いが増加する傾向になります。また、決算を終えた機関投資家による海外株式・債券などの新たな投資の為、円安になりがちです。
8月→取引量の減少(夏休みによる市場参加者減の為)
日本は8月中旬のお盆休み、欧米は夏季のバカンス休暇になるので取引量は減り、市場は動きにくくなります。
但し、大きな事件・事故などが起こると一方向に大きく動く事もあります。
11月→米ドル高、ユーロ高傾向
欧米系は12月決算の企業が多く、海外資産を自国に戻すリパトリエーション(資金の本国還流)が増えます。
海外にある資金を米ドルやユーロに戻すためドル高・ユーロ高になりやすいです。
12月→取引量が減る
1年最後の12月は、欧米がクリスマス休暇の為、取引量が激減します。
市場参加者も為替や債券等の1年間の利益目標を12ヶ月(1月から12月)で計画立てするのではなく、11ヶ月(1月から11月)で考えます。11月迄に年間目標を達成させてしまう傾向があり、12月の利益は考慮しない参加者が多数となります。
外国企業も12月決算が多く、1年の最終月で損益が大きく動く事を嫌い、取引を控えることも多くなるようです。
その為、相場は12月の中旬以降はクリスマスも控え、動きにくくなる傾向があります。