為替相場が日本の株価を左右している?
円高は海外投資家にとっては為替差益をもたらすため、日本株投資を後押しする事になりますが、一方で、輸出関連企業の株価にマイナスの影響を与える事になります。
これは、「ある国において株価上昇が見込まれると、その国の通貨の価値が上がる」法則です。
日本株の上昇が見込まれると、海外からの投資が活発になり、円の需要(円買いドル売り)が増えていきます。
つまり、「日本株高=円高」という式が成り立つ事になるはずです。
しかし、現実の為替相場と日本株の関係は本当にそうなのでしょうか?
米ドル/日本円相場とTOPIX(東証株価指数)2000年から2017年の18年間の推移を比べてみると、同じ様なラインを描いている時期(2004年から2017年)も、そうでない時期(2000年から2004年)もあり、必ずしも連動しているとは言えません。
それは株式市場だけでなく、その国の景気や金利・貿易収支・物価など様々な要因が影響し、その結果、ドル/円相場が動いているからです。
但し、外国人投資家(主に米国や欧州など海外の年金基金や投・資信託などを運用する機関投資家)にとって、為替相場の動きと日本株の動きは、投資を判断するうえで重要なポイントになります。
なぜなら為替相場の動きが外国人投資家の収益を大きく左右するからです。
以下の様に考えられます。
・円高が続くなら、為替差益が狙える → 日本株を買いたい
・円安が続くなら、為替差損が発生する → 日本株を売りたい
日本の株式市場における外国人投資家の売買シェアは7割にもなります。
内訳は、海外投資家70.8%、個人20.1%、法人8.0%、証券1.0%(2017年12月の東証一部株式売買)
上記の考えで彼らが一斉に日本株を売ったり、買ったりすると、為替相場が大きく動く可能性があります。
但し、「円高なら企業業績の悪化で、日本株は売り」と考えて行動する外国人投資家も多数います。
円高は輸出型企業株にマイナス、内需型企業にプラス
一つはっきりしているのは、日本は基本的に貿易黒字国で輸出関連企業が多いため、「円高」が株価全体に及ぼす影響が大きいと言う事です。
円高になると輸出関連企業の株が売られやすくなり結果として、
円高 → 輸出関連企業の株価下落 → 日本株全体にマイナスの影響
となってしまう可能性が高いのです。
円高は一般に外需依存の企業にとっては厳しい経営環境ですが、一方で内需完結型の企業にとっては、輸入製品・原材料の価格が下がるため、ありがたい状況になるとも言えます。
円高は、商品や原材料などを海外から安く仕入れられることから業績が良くなり、株価が上がる企業もあるのです。