外国為替取引の中心はなぜ米国ドル?
世界最大の経済・軍事大国、その通貨米国ドルは一番信頼され?、貿易決済、外貨準備に使われているためです。
通貨の中心としてのドル
世界の通貨の中心とも言える米国ドル、世界の全取引通貨の9割近くを占めます。
国際取引決済の通貨は圧倒的に米ドルが多く、石油産出国が原油輸出の場合の取引決済は基本米国ドルです。
また、各国の「外貨準備」をみても明らかです。経済危機など予想外の事態が起きた時の為に、自国通貨以外に複数国の通貨(外貨)を保有します。
何かあった時の為の「保険」の役割を果たす為の通貨、そのためにも一番頼りになる通貨を持っておく必要があるのです。
世界の外貨準備高は11兆2966億ドル(約1243兆円)(1ドル110円換算)にもなります。このうち米国ドルは6兆1256億ドル(約674兆円)(1ドル110円換算)です。
通貨別内訳が分かっている部分の約64%を占め、2位のユーロの3倍以上にもなります。(2017年7~9月期現在、国際通貨基金)
我が国の外貨準備を見ると、米ドルが約90%を占めてます。アジアや中南米の国々でもドルの比重は高く、50%から70%にも及びます。しかし、最近はこの比重は低下傾向にはあります。
外国為替市場
米ドル(が絡んだ取引)84.9%
ユーロ 39.1%
日本円 19.0%
英ポンド 12.9%
オーストラリアドル 7.6%
スイスフラン 6.4%
カナダドル 5.3%
香港ドル 2.4%
スウェーデンクローナ 2.2%
ニュージーランドドル 1.6%
韓国ウォン 1.5%
シンガポールドル 1.4%
ノルウェークローナ 1.3%
メキシコペソ 1.3%
インドルピー 0.9%
ロシアルーブル 0.9%
ポーランドズロチ 0.8%
トルコリラ 0.7%
南アフリカランド 0.7%
ブラジルレアル 0.7%
デンマーククローネ 0.6%
台湾ドル 0.5%
ハンガリーフリント 0.4%
マレーシアリンギ 0.3%
その他 6.7%
合計200%(通貨ペアなので2国の通貨が関連するので合計は200%です)
国際決済銀行(BIS)の調査によると外為市場でもドルに絡んだ取引は全取引量の85%に上っています。その為、ドルの価値の変動はほとんど世界中の通貨の為替レートに直接影響してしまいます。
世界最大の経済力と軍事力のアメリカ
その国の通貨「米国ドル」、基軸の通貨になってます。
その理由として、
1.米国が世界のGDP(国内総生産)の約2割を占める世界最大の経済大国であること。経済大国である為、その国の通貨が急激に下がるリスクが少ない。その為、企業の貿易支払いや受け取りにドルが使われる。
2.米国が世界最大の軍事大国であること。もし、戦争やテロなどの有事が発生しても、米国ならダメージは少なく、米ドルの価値は下がりにくいという訳です。
有名な格言に、「有事のドル買い」があります。
有事の事態が発生した場合、「米ドルを買っておけば安心」と言う意味です。しかし、近年ではこの格言が当てはまらない事例も多くなってます。
米国の経済力が以前よりも衰えてきて、財政赤字も9840億ドル(約108兆2400億円、1ドル110円換算)と、7年ぶりの水準に悪化してます。
以前に比べ絶対的な米国優位から低下しているのは紛れもない事実です。