9月の為替相場の展望
相場の環境
9月上旬になりましたが、今月は引き続き米国の通商政策が注目され、相場の材料になってます。
対中国制裁関税第2弾、2000億ドル分に関するパブリックコメントの期限が本日9月6日にきます。それ以降であれば、制裁関税第2弾はいつでも発動できる状態のようです。
少なくともトランプ大統領は何らかのメッセージがマーケットに発せられそうです。
これに対する中国も、600億ドル分の報復関税を準備しています。米中間の交渉は 暗礁に乗り上げたままの感がありますが、貿易摩擦の緩和に向けての進展はあるのでしょうか。
また、さらなる対中制裁関税発動の可能性はあるのでしょうか?
北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを巡るメキシコとの2国間協議の大筋合意を受けて、カナダを含む3ヶ国での最終合意が出来るのか。
9月25日から10月4日にニューヨークで国連総会があり、日本からも安倍首相の出席が予定されてます。出席前後には日米首脳会談が行われそうです。
それまでに日米新通商協議(FFR)の第2回会合が開催され、日米首脳会談に向けて何らかの合意ができるかもしれません。行方がどうなるかなども注目です。
日本だけでなくEUにも影響が大きい自動車関税に関しても何らかの動きはあるかもしれません。
米国の新年度2019年は10月1日に始まります。
新年度に向けて、レーバーデー(9月3日)明けから議会で予算編成が本格化していきます。
議会はトランプ政権と同じ共和党が過半数を握っているため、予算編成が頓挫してシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)が起こる可能性は低いです。
ただし、中間選挙(11月6日)をにらんで、党派的対立が鮮明になる可能性はあります。これから2ヶ月間は目が離せません。
金融政策に関して
9月に金融政策の会合がある中銀は、豪RBA(4日、変更はなく1.50%維持)、加BOC(5日、変更はなく1.50%維持)。
この後は、来週にECB(13日)、英BOE(13日)、トルコTCMB(13日)、再来週に日銀(19日)、9月最後の週にFRB(26日FOMC)、RBNZ(27日)が予定されてます。
この中で、FOMCでの利上げはほぼ確実視されています。
その他の中銀は金融政策の現状維持が予想されます。
また、トルコリラの変動が大きくなっています。特に来週13日のTCMB(トルコ中銀)会合の前後には十分に注意が必要です。注目点は、TCMBは市場の利上げ期待に対してどう対応するかでしょうか。
主要通貨、株式の動向
今回は「季節的アノマリー」『8月末買い、12月末売り』について少し振り返ってみます。
「季節的アノマリー」 『8月末買い、12月末売り』について
この時期のアノマリー(※)として注目したいのが、『8月末買い、12月末売り』です。
(※アノマリー:科学的に実証されている訳ではないものの、相場において比較的よく当たるとされるパターンや経験則のこと)
2008年から2017年の10年間における主要銘柄(日経225・NYダウ・米ドル/円・豪ドル/円・NZドル/円を振り返ってみてみると、
2007年のサブプライム住宅ローン危機に端を発したアメリカの住宅バブルの崩壊。
これをきっかけに、2008年9月15日のリーマン証券の経営破たんを受けて、この時『8月末買い、12月末売り』を行っていたら、2008年は日経225・NYダウ・米ドル/円・豪ドル/円・NZドル/円の全てで負けでした。
しかし、2009年から2017年までは、NYダウは9連勝。日経225・豪ドル円・NZドル/円も2011年以外は勝ちの結果になっています。
(2011年9月6日には『スイスフラン・ショック』がおこる)
2018年は、NYダウは10連勝、日経225・豪ドル円・NZドル/円も2012年からの7連勝となるのでしょうか?
『8月末買い、12月末売り』にはストップロスオーダー等の設定は必須条件で臨むべきと考えます。投資ポジションには十分留意すべきでしょう。
厳密に『8月末』とは8月最終レートを規定している訳ではないため、9月前半までターゲット期間は広がると考えます。
特に、米中貿易摩擦に絡む世界的な景気後退懸念や、トルコショックに端を発する新興国の金融メルトダウンの可能性、そして、『リーマン・ショック』から今年で10年目であるという「金融危機10年サイクル説」等を念頭に入れつつ、
この季節的アノマリーをお取引の参考にされてはどうでしょうか?