CFDやFX取引にあたり時間軸を常に頭に入れておかないでのトレードはあり得ません
「期間を区切って、いつまでにどうなるか」を読むことが取引をする上でとても重要になるのです。
時間軸別に見る相場の変動
超長期(2年以上)
超長期のトレンドは、主に構造的な要因によって形成されていきます。特に考慮すべき重要なもとしては、
①経常収支
一国の収入と支出を示し、黒字であれば貿易で輸出が輸入より多い(貿易収支黒字)か、あるいは海外への投資から得られる利子や配当金の受け取りが、支払いよりも多い(所得収支黒字)ことを示しています。
経常黒字国は海外から稼いだ外貨を日本国内に戻す際に自国通貨買い/相手国通貨売りが起こるため、基本的に通貨圧力にさらされます。
ただ、為替市場全体の取引量に対して、貿易などの経常取引は相対的に少なく、投資や投機といった資本取引の規模が圧倒的に大きいことは、相場の予想をする上では考慮すべき重要な点です。
資本取引の動きは金融政策に左右されやすいため、経常収支の増減よりも短期的に相場に影響を与える傾向がみられます。
②購買力平価
同じモノやサービスの価格は、世界中で同じ価格になるはずであると言う「一物一価の法則」に基づいた考えです。
もし同じモノの価格が2国間において異なる場合は、物価の安い国の通貨は買われやすく、為替レートは長期的には2国間でモノの価格が同じになるようなレート(購買力平価)に近づいていくと言う理論です。
③実質金利差
一般的に金利が低い通貨から、高い通貨に投資マネーは向かうため、金利が高い国の通貨の方が相対的に強くなりやすい傾向が見られます。中~長期的には政策金利や国債の利回りなどの「名目金利」が高い通貨が買われやすいのです。
しかし、2年超などの超長期で考えた場合、名目金利はインフレ(物価上昇率)を差し引いた「実質金利」が重要になってきます。物価が高く、実質金利は低い国の通貨は長い目で見れば弱く、金融市場が大きく荒れたときに値を崩しやすい傾向が見られます。
④経済構造上の問題点など
2009年から市場を揺るがしていたユーロ圏の債務問題。ユーロ圏の各国は通貨や金融政策が一つでも、重要な財政が国ごとにバラバラで違うという構造的な問題があり、それが各国間の信用力や経済力の格差を広げて来てました。
一つに収れんしていたはずのユーロ各国の国債利回りが、信用力の格差が広がるとともに拡散してしまったことは、通貨ユーロそのものに対する大きな不安となってしまいました。
ユーロ相場はその後、長期の下落トレンドを描く事となり、こうした構造的な問題が解消するまでは、通貨ユーロの信頼が完全に回復するのには時間がかかってます。こうした根本的な問題は、為替の超長期のトレンドに大きな影響を及ぼすことになります。
長期(1~2年)
長期も構造的な要因がトレンドを形成していきます。景気循環など循環的に起こり得るものが、為替のトレンドを左右していきます。また、各国の金融政策による金利差の変化も、1~2年というターム(期間)で為替相場に影響を与えていきます。
10年前の2008年のリーマン・ショック以降に実施した金融緩和政策は、それが米国にとって歴史的な出来事だったこともあり、長期のドル安トレンドを形成しました。
米国の経常赤字は2006年に既にピークを打ち、当時はすでに減少傾向にあったため、本来はドルに上昇圧力が掛かりやすい環境にありました。
それにもかかわらず、初めてゼロ金利政策を採用したことや、約2兆ドルと言う規模の量的緩和を段階的に実施したことから、経常収支の変化よりも強くドル安方向に影響を与える結果となってしまいました。
中期(半年~1年)
景気トレンドや、通貨間における金利差、金融政策に対する予想などが影響を与えます。景気が上向いて、「利上げが近い」という観測が強まれば、その通貨は買われる傾向になります。
短期(1週間~半年)
「市場のセンチメント」という言葉が使われます。これは「市場の雰囲気」の意味で、こうしたセンチメントや需給、テクニカル要因などで短期的な相場で変動していきます。
超短期(日中~1週間)
市場参加者の思惑や、経済指標発表時の予想に反するサプライズ結果、ストップロスオーダーの実行による変動、コンピューターによるシステム売買など、目先の判断で超短期相場は大きく動いていきます。
時間軸をきちんと分けて考えると、相場の変動要因が、どの程度の期間、相場に影響を与えるかと言う事がおぼろげながら見えて来ます。
その結果、相場の見通しが立てやすくなっていき、自分の相場感や経験も生かされて来る事になる事でしょう。