為替相場(主にUSドル/日本円)の大幅な変動は、諸外国との貿易で成り立つ日本にとっては好ましいものとは言えません。
海外との取引を行う上で為替は安定している事が望ましいのは明らかです。
USドル/日本円の過去の為替相場の流れを振り返ってみると
1949年-1971年8月まではUS1ドル= 360円固定レートの時代。
1971年8月15日のニクソン・ショックでドルに対する不安が表面化し、これがきっかけになり、1971年12月から1973年前半は、US1ドル=308円となりました。
その後、1973年2月からは日本も変動相場制への移行されました。
1994年にはじめて1ドル=100円の大台を突破し、1995年4月19日の午前9時過ぎには79円75銭と瞬間1ドル=80円割れを記録しました。
その後、2011年10月31日にはギリシャ発のヨーロッパ金融危機で世界的な金融不安が広がる中、史上最高値の75円54銭まで付けました。
1971年8月までの360円時代から約40年かけて円の実力は約5倍(360円/75円54銭)になった感じでしょうか。
1973年から2018年までの45年間を顧みると、USドル/円の為替相場が安定していた時期の方が圧倒的に少なかったのは明らかです。
では、日本にとって円高と円安ではどちらがよいのでしょうか?
資源や原材料を輸入し、それらを加工し、更に付加価値をつけて商品・製品にして海外に輸出。
資源の乏しい日本では、今後もこのスタイルは大きく変わらない事でしょうし、これが出来なければ日本の地位も安泰では有りません。
加工貿易立国としての日本を見ると、円安の方が良いと思われます。
また、日本は世界最大の対外純資産国でもあります。
これは、日本国政府・企業・個人が海外に保有している資産から負債を差し引いた金額は、世界で最も大きい国であると言う事を意味します。
円安は外貨建て資産の増加にもつながって行きます。
更に海外からの外貨建て(主にUSドル)の利子や配当は、日本円に換えると円高時よりも円安時の方が受け取り額が大きくもなります。
このことからも世界最大の対外純資産を持つ日本は、世界の国々の中で最も通貨安のメリットを享受できる国であるともいえます。
現在、日本全体で保有している米国債は、2014年11月の約1兆1800億ドルから2018年3月には1兆ドルを割れ、約9800億ドル(1ドル113円換算で約111兆円)まで減少しました。
しかしこれは日本の年間一般会計予算額の約100兆円を11兆円も上回る金額になります。
もし、これを1ドル100円の時に売却したとすれば、約98兆円ですが、1ドル=120円なら約117兆6000億円にも増加します。為替差益は約19兆6000億円にも及びます。
また、これだけの米国債を日本が保有する事によって、元本に対する金利(利息)だけでも大変な額になります。
米国金利が1%上がるだけで約1兆円弱もの利息増加です。金利の変動による受け取り利息の増減も見過ごせません。
方や、円高は輸出産業にとって減収となるのは間違いないですが、日本円が買われているという事はそれだけ海外勢が日本経済の将来に対して明るく見ていることでもあると言えます。
様々な角度位から円高円安を考えると、日本としては円安の方がメリットを多く享受できるのではないでしょうか?
しかし個人的には、海外旅行に行く時と外債を購入する時は別(円高希望)ですが。。。
為替相場は、円高・円安、経済は様々な要素が複雑に関係し、もし為替の均衡が崩れ始めると為替レートはとても速いスピード動くものです。