為替市場での取引量は、1日の時間帯や1年の中で多い時と少ない時があります。その法則(パターン)を1日、1ヶ月、1年単位で見てみます。
この流れをあらかじめ把握しておけば、中長期の売買に活用することが可能です。頭の片隅にでも残しておいて頂ければと思ってます。
為替の取引量が最も多いのはいつなのか?
①1日 ⇒ 日本時間の夜から深夜にかけて取引量が増えて行き、早朝は減ります。
1日の単位で見てみると、
最も取引量が多くなるのは、日本時間の21時頃~翌日の午前2時頃にかけてです。
この時間帯はヨーロッパタイムで、欧州の銀行・機関投資家に加えて、米国ニューヨーク市場での取引が始まり、マーケットの取引が活発になり、取引量も増えて来ます。
さらに、この時間帯には米国やカナダなどの経済指標の発表もあります。市場の注目度が高い米国の雇用統計(基本は毎月第一金曜日)もこの時間帯です。
取引が増え始めると、まとまった大口注文も増え、為替市場は取引量を増やし、プライスにも厚みが出来てきます。
逆に、取引量が少なくなりマーケットの取引が減少するのは、米国の銀行・投資家達が1日の取引を手終う日本時間早朝のシドニー・ウェリントン市場から午前9時の東京市場がオープンするまでの時間です。
②1ヶ月 ⇒ 毎月5日、10日、月末に取引量が増える
企業の輸出入の決済が増える5日と10日(ゴトウ日)や月末は実需の外貨買い注文が出やすく、その結果、円安になる傾向が多く見られます。
③1年 ⇒ 取引量は、休暇や企業の決算月に大きく関係してきます。
2月~3月 円高傾向
数多くの日本企業が3月決算を前に、海外にある連結子会社や現地法人が稼いだ利益を日本国内に送るリパトリエーション(資金の本国(日本)還流)が活発に行なわれます。
その為、この時期は毎年、日本企業による現地通貨売りドル買い、そしてドル売り日本円買いが盛んになります。
4月~5月
3月決算終了後、4月から多くの日本企業は新年度入りし新規取引を開始するためドル買いが増加する傾向が強いです。
同様に決算を終えた機関投資家による新規の海外株式や外国債券などにまとまった額での投資が始まるので、円安になりがちです。
また、今年2019年に関して言えば、新元号の始まりに際して4月末からのゴールデンウィークが9連休になる会社も多く、海外旅行用の実需によるドル買いも無視出来ません。
(ゴールデンウィーク期間で休日の5月3日(金)の米国雇用統計も目が離せません)
6月末~7月上旬と11月末~12月上旬
日本では一般的にボーナスの時期にあたり、以前は外貨預金用の米ドルやオーストラリア、ニュージーランドなどの高金利通貨買いの手当て買いが高まるため円売りで円安傾向になるとされてました。
8月
取引量の減少
日本では8月中旬のお盆休み、欧米では8月の夏季休暇に入るので取引量は減り、市場は大きく動きにくくなります。
11月
ドル高、ユーロ高傾向
12月に決算を迎える欧米企業が海外の資金を自国に戻すリパトリエーションが増えます。海外にある資金を米ドルやユーロなどに戻すため、ドル高・ユーロ高の他通貨安になる傾向が強いです。
12月
取引量の減少
12月は1年の締めくくりでもあり、12月中旬からは欧米を中心にクリスマス休暇に入るため取引量が大きく減ります。
各銀行の主要ディラー達は、1年12ヶ月分の目標収益を11ヶ月間で考え、11月までに目標を達成(クリア)する様にトレーディングしてます。
達成してしまえば11月で取引を終了させて、12月に入ると1ヶ月の長期休暇に入ってしまいます。
また、多くの外国企業は12月決算のため、損益が大きく変動する事を嫌うため、取引自体を控える傾向が多くなります。そのため、相場はあまり動かなくなる傾向があります。
しかし、事件・事故や為替に大きく影響する発言等があれば、市場参加者の少ないマーケットでは仕掛けなどで大きく一方向にぶれる懸念も発生します。