今回は価格が急騰しているパラジウムと相反するプラチナに関しての一考察
パラジウムは史上最高値を更新中!!
パラジウムのニューヨーク先物チャートを見てみると、
ついに今週1500ドルを超え、昨日の2月27日には1564.5ドルの過去最高値の高値で、2018年9月初旬の840.37ドルからこの6ヶ月の上昇率は約90%にも達しました。(2019年は2ヶ月で約25%上昇、2月は7ヶ月連続の月間上昇を記録)
2016年1月にはわずか460ドル台でした。2014年までさかのぼってみてみると、その年の9月に900ドルを一瞬超えましたが、460ドルから900ドルのレンジ内で推移していました。
それが、今回は2018年1月に1000ドルを超えてきて、8月に一旦820ドルまで下げても、そこから右肩上がりで上昇、約6ヶ月間で約2倍にまで値上がりしました。
その為、逆に在庫量は2015年秋までは80トン以上で安定的に推移していましたが、その後は右肩下がりで、今年2019年1月には20トン台前半にまで減少する状況にまでなってしまっています。
この背景には、ガソリン車の排ガス触媒向け需要が伸びて、慢性的な供給不足が続くとの見方が強いのが大きな要因とされています。
プラチナはディーゼル車の排ガス触媒や宝飾品に使用されている
プラチナは、世界的にディーゼル車から電気・水素自動車へのシフトの中、需要減速による安値が続いています。更には、プラチナ・金の最大の消費国である中国の景気悪化に伴う、宝飾品需要の不振なども見過ごすことはできません。
本来ならば、需給が減少すれば減産するところでしょうが生産量は横ばい状態です。
これは、プラチナやニッケルなどの副産物としてパラジウムは生産されてしまう為、パラジウムの高騰で生産量が減らず、結果的にプラチナも生産されてしまい、プラチナの供給量が増加するという構図になってしまっていると指摘されています。
プラチナのニューヨーク先物のチャートをみると、
2014年から下落が続き2015年4月の1509ドルから1年で約半分の820ドルまで下落し、1100台後半まで戻すが1000ドルレベルの水準の壁は重く、2018年8月には765.12ドルと14年ぶりの安値を記録しています。
そして2019年2月28日現在では865ドルです。900ドルが採掘採算ラインとされており、2018年8月から採算割れの状況が続いてる状態です。
【プラチナ産出国ランキング】単位トン
1.南アフリカ共和国 160.013 (74.8 %)
2.ロシア 36.000 (16.8 %)
3.カナダ 7.000 ( 3.3 %)
4.ジンバブエ 4.438 ( 2.1 %)
5.アメリカ合衆国 4.040 ( 1.9 %)
6.コロンビア 1.400 ( 0.7 %)
パラジウムは、プラチナやニッケルなどの副産物として生産されるため、生産量は主産物の産出動向に左右される。2010年代、南アフリカのプラチナ鉱山で閉鎖が相次ぐとパラジウムの生産量が減少して価格が高騰。2019年2月には過去最高値の記録を更新中)
【パラジウム産出国ランキング】 供給量(000 oz)
1.ロシア 4,540(52.9%)
2.南アフリカ共和国 2,770(32.3%)
3.北米(カナダ、米国) 990(11.5%)
4.その他 285( 3.3%)
パラジウムの2007年の年間総供給量は約859万オンス。ロシアと南アフリカ共和国の2国で世界の年間総供給量の約85%を占めています。
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また、パラジウムは世界的な排ガス規制の強化もあり、ガソリン自動車向けの触媒需要はこの10年間で倍増しました。2018年の世界供給不足の量は0.8トンで、前年2017年の24.5トンからは不足量は減り、数字上は供給不足が和らいだ様に見えています。
しかし、これは上場投資信託(ETF)の大量売却が不足分を補った結果とされています。
価格上昇に伴い、利益確定の売却に動いている投資家が増えている状況で、その結果市場に放出された現物のパラジウムは旺盛な需要に消化されているのが現状の様です。
放出されてもすぐに買われている結果、これからは市場にでる在庫も少なくなって来ると思われます。
金・銀に比べれば市場規模もかなり小さいパラジウム
2019年は相当数の供給不足も指摘されていて、市場の求めるニーズにこたえられないとされており、価格高騰に伴う、代替品の転用や開発が上手く進むまでは、在庫が底をつけばまだまだ価格は上昇すると見る市場関係者は多いとされています。
パラジウム価格の上昇が続けば、プラチナの余剰感はますます強まり、更なるプラチナ安の状況が続くとの見方が多いです。
CFD取引は、FXだけではなく、パラジウムやプラチナなどの貴金属商品の取引も可能です。
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取引にあたってはストップロス・ポジションの額を常に念頭に置き、大切な資金ですから取引には細心の注意をしていきましょう。
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