225と言ったら 日経? いいえ、日米10年債券金利差です
7月10日(水)の米国時間、FRBパウエル議長による下院議会証言がありました。
「先週発表の雇用統計の結果(予想を上回る22.4万人増)を受けても見解を変えない」、「雇用統計後も不透明感はあり、必要な準備は出来ていると」と証言。
7月利下げを確認した結果になり、マーケットの期待は高まり金利低下・株高(主要株価3指数とも一時最高値を更新)で反応。
また、7月の0.5%利下げ予想は9日の3.3%から10日には30%近くにまで上昇しています。
既に日米10年債の金利差は2.2%を割れ、スプレッドは7月10日現在で2.193%にまで縮小。(10年国債米国2.063%、日本-0.13%)2019年の最大スプレッドは3月6日2.695%、最小差は7月3日2.104%。
利下げにより日米金利差が更に狭まれば、ドルキャリーの魅力は減少し、ドル売り/円買いのポジションが増え、この面からも円高/ドル安方向に進み易くなると思われます。
過去の日米10年債金利差2.25%割れの3ケース
1. 1995年の金利差2.25%割れから、同年4月19日にドル/円79円75銭の円高に。(1月は98円台、しかし11月には100円を回復)
2. 2001年には前年までは6%以上の開きがあった日米金利差が急速に縮小し、2%割れまで。
この時は翌年の2002年1月、130円越えの水準から6月には120円割れ、翌2003年10月には110円割れ、そして2005年1月には102円までの円高になっています。
3. 2007年は当時5%以上のスプレッドがあり、2007年6月に121円から下げて2008年 に2.25%を割れ、2009年には日米金利差のスプレッドは0にまでなっています。
この局面においてもドル/円は円高に進み、2011年3月には東日本大震災もあり、瞬間1ドル76円25銭までつけています。(2011年11月には75円78銭の史上最高値)
この3つのケースでは、利下げした後も暫くは4~6%の日米金利差が続き、ドル買い/円売りで一旦は円安方向に向かっても、金利差が2.25%以内になると円高に向かう傾向があります。
マーケットで予想されている年内2回のFRBによる利下げが実施された場合、当然日米の政策金利差は2.25%を大きく割れ、為替はますます円高圧力が強まる可能性が大きいです。
仮に、7月31日に0.5%下げられれば、現在2.193%の差が2%を割れに。その場合、8月には現在の108円後半から2~3円程度の円高になる可能性は十分に高いと思われます。
逆に、0.25%では既に織り込み済みとして円安に振れる可能性も否定は出来ませんが、その場合でも一時的な円安で終わる可能性は高く、110円を大きく越えての円安はなりにくいと思われます。
米国長短金利差の逆転
将来的なリセッション入りのサインとされてきている長短金利差の逆転を解消させるには、今回0.5%程度の利下げが必要とされています。
日米金利差が2%割れの状況が固定化されると、2016年11月9日以来となる105円割れを今年の8月以降に目にする事はあるかもしれません。
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コーヒーブレイク
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アメリカの「長短金利差」逆転の持つ意味?
「短期金利」は1年以内の金利、「長期金利」は1年以上の金利(一般的には10年国債の金利)とされ、長期金利-短期金利の差が「長短金利差」です。一般的には、長期金利>短期金利なので「長短金利差」はプラスになります。
しかし過去には何度かこれがマイナス(つまり短期金利>長期金利)になったことがあり、その後長短金利のマイナスが解消されて、プラスに転じていく段階で不況が発生していました。
この「アメリカの長短金利差の逆転(=逆イールド)」こそが、アメリカ経済が不況に入る直前に異常を知らせるといわれています。
1980年代後半以降で見ると、逆イールドの状態が一定期間続いたのは3回だけです。
1.1986年12月から1991年2月までのバブル景気を受けての1989年5月から8月の4ヶ月間
2.2001年ITバブルの崩壊前の2000年7月から2001年1月の7ヶ月間
3.2008年のリーマンショック前で逆イールドが発生していた2006年7月から2007年5月の11ヶ月間。
その後急速にスプレッドは順イールド状況の2.5%から3.0%の差まで戻してます。
そして今回、2019年6月からのセッション。その過去3回とも、1~2年後に景気後退局面入りしており、長短金利差逆転は先行きの景気後退を確実に言い当てているようにみえます。
果たして今回も?
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