2年債と10年債スプレッド、12年ぶりに逆イールドに
⇒景気後退サイン?
先週、米国10年国債利回りが2年債利回りを12年ぶりに下回る「逆イールド」が発生(現在は逆イールドは解消)。
3ヶ月物の米国利回りと10年債は既に逆転状態です。
逆イールドは長短金利の逆転で、過去この状態の後に米国景気後退になるケースが発生し、景気後退の「シグナル」とされていました。
ますます景気後退のリスクは高まったとマーケットはみています。
過去2000年や2007年も同様な現象が起き、その約1年後には米国はリセッション(景気後退)入りしています。
過去の経験則からみると1/3の確率で1年以内に景気後退が始まっています。同時に欧州や中国の景気指数の悪化も鮮明。
米国債
7月からは、米中貿易戦争等の影響で安全資産への回避として10年債が買われ、金利低下になってきていました。(金も買われ高値更新)
7月末には2.0%強だった米国10年債は8月に入り2%を割れ、戻りもなく下落。一気に8月7日には1.6%台前半まで。
戻りも8日に1.75%までで再び下落し、15日には2016年8月以来3年ぶりとなる1.50%を一時割れこみ、1.4933%までつけました。
この時、米国30年債利回りも一時2%割れまで付けていて、過去最低水準を更新しました。(日本時間21日夕方現在、米国10年債は1.59%。30年債は2.07%。2年債1.53%)
史上最低の金利水準の10年1.3%台も視野に入ってきたとみる向きもあります。
ドイツ国債
ドイツ30年債超長期利回りがマイナスに。
21日に実施されたドイツ30年物国債(表面利回りゼロ)入札は平均利回りがマイナス0.11%で史上初のマイナスに。その結果、ドイツ国債は全ての年限で利回りがマイナス状態に。
ドイツは史上初のマイナス金利で-0.3%(2019年8月に急落でマイナスに)2019年6月時点では日本と同じ0.4%弱でした。
軒並み世界はマイナス金利で、主要先進国でプラス金利なのは、アメリカと日本だけです。日本30年債はかろうじてプラス(8月22日現在0.184%)。
今後米国の追加利下げが実行され、金利低下が進めば米国株価の下げにいったんは歯止めかかるかもしれません。
過去を見てみても、米国で逆イールドが発生して景気後退が始まるまでは利下げによる株高はある程度の期間継続されていました。
1988年、2005年の場合は、逆イールド発生から景気後退までの期間が2年前後で、それまでの間、米国株は平均で20%から25%も上昇し、その後下落に。
しかし、この期間の日本株を見て見ると軟調でした。
これは米国の利下げによる日米金利差縮小で、ドル安・円高が進みやすくなる傾向があり、結果、円高が進むと海外勢は日本の景気後退になると判断し、日本売りの材料になるとして日本株も買われにくくなりやすい傾向があるためでした。
ジャクソンホール会議
22日から24日の中央銀行幹部が集まるジャクソンホール会議における23日のFRBのパウエル議長の講演に注目。
ドル円
日米金利差
日米10年債金利差の相関関係でドル円レートを見ると、1.7%で105円・1.9%で107円のレンジに。8月20日現在でみると約1.8%で106円後半。
日米の金利差から見ると現在はややドル高状態であり、105円割れも視野に。さらにFRBの追加利下げ次第では更なる下値の100円を目指すのだろうか?
暫くドル円は売り買い交錯のレンジ?
逆に、米金利の動向に注目しながら米金利が反発上昇する場合は、レジスタントポイントの106円70銭へのトライが焦点となるそうです。
この水準には輸出企業の売りオファーが並んでいるとされています。106円70銭を突破する場合は、次は106円92銭前後を試すと予想。
一方、更に米金利が低下する場合は106円台が維持出来るかが焦点。この水準にはまとまった買いオーダーがあるとされています。
106円が割れる局面があっても、余程のリスク回避材料(例えば貿易問題を再燃させる米中双方からの言動や、中国による香港への直接の行動等)がない限り、8月中旬に相場をサポートした105円65銭レベルが維持する展開を予想されています。