スイスフラン/ユーロか?ユーロ/スイスフラン?
どちらの通貨を主に置くかによってチャートの見方は逆になるものです、スイスフランの値上がりをチャート上で実感するにはスイスフラン/ユーロでのチャートですね。
スイスフランが強い
スイスフランが対ユーロで上昇、安心・安全通貨としてのスイスフラン人気は根強いものがあります。
終わりの見えない米中貿易戦争、今後のイラン・中東情勢など先行き不透明感から、商品としては金、債券としては、米国債、そして通貨としてはスイスフランが安全資産として買われています。
特にEUからの離脱問題(Brexit)の混乱による英国の経済の不安要素などから、英ポンド/スイスフランでポンドは大きく売られています。
この10年の英ポンド/スイスを見ると、1ヶ月前の8月11日には、2011年8月以来となる1.17割れの水準までポンドは売られました。
現在は1.22台まで戻しています。
(2011年の時は瞬間値を付けただけですぐに下落前の1.30台に急回復しています。)
話を戻し、この1年半のスイスフラン/ユーロ値動きを見て見ると、
2018年4月0.8330台の安値から5月末には0.8750まで、一気に400ポイントも上昇。
下げも弱く、利益確定売りが一部見られた程度でした。
7月から再び上昇に転じ、8月から今年の4月までは0.87から0.89のレンジトレードでの推移でした。
2019年5月から上昇し、先週の9月5日には一時0.925直前と2017年4月以来となる2年5ヶ月ぶりの高値水準までスイスフランは買われました。
ここまでの上昇が強く、8月に入ってからは0.91から0.925のレンジ取引が続いていて、これから
どちらに振れるか注視されています。
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スイスの金利
スイスの政策金利は2015年1月からマイナス0.75%の据え置きで、主要諸国の中では最低水準にあります。
スイス国立銀行はスイスフラン高を抑えるために、本日9月12日のECB(欧州中央銀行)理事会の結果を次第では、更なる利下げ観測もあります。
国債利回りは、既に2年債で-1.00%、5年で-0.94%、10年で-0.77%、30年で-0.3%、そして50年で-0.13です。
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コーヒーブレイク
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スイスショック
2015年1月15日、世間で言われている「スイスショック」なるものが発生しました。
ユーロが誕生して以来の、「ユーロ/スイスフラン」が大暴落しました。(スイスフラン/ユーロでは、大暴騰ですが。)
これは、スイス銀行が、自国通貨スイスフランの上昇を抑える意味で、「対ユーロで0.8333(EUR/CHFでは1.2)を上回る価格上昇があった場合、自国通貨防衛のため、永続的にスイス売りユーロ買いの介入を行う」と宣言していました。
この発表で市場にはスイス銀行が介入を継続してくれる安心通貨としてのユーロの需要が高まり、ユーロは買ってもスイスフラン売りがもたらされて、0.8333割れの下落リスクがない通貨とされていました。
(2011年10月~2014年12月の3年3ヶ月は0.80から0.83のレンジに終始)
それが2015年1月15日、突然の「永続的介入の宣言」が撤廃されました。
信用に裏付けられたユーロに対する通貨としての安心感が一気に崩れ、投資家やトレーダー達による大量の「ユーロ売り、スイスフラン買い」がマーケットに殺到しました。
結果、数十分の短時間で、0.83台から1.0050まで1700ポイント(約20%)上昇する場面がありました)。
更に1月26日には1.0200台まで値を付けるまでユーロは売られました。
2015年2月には0.93割れ、7月から2017年7月までは、0.90から0.95のレンジトレードが続きました。
7月26日0.9を割れてからステージが変わり、一時2018年4月から5月にかけて0.85を割れ、0.83台までつけましたが、
「スイスショック」の水準以前には戻らず、その後は値を戻し、2019年5月からは上昇です。