10月30日、FRBは米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げを決定。
7月、9月に続き3会合連続(合計0.75%)の引き下げに。
AND 2019
11月相場
今年も残すところ、あと2ヶ月。12月に入ると欧米系の多くの市場参加者達が年明けまでの約1ヶ月近く長期クリスマス休暇に入り始めます。
2019年最後の勝負をするなら11月。利益を上げて『 Happy Christmas!! 』迎えたいものですね。
今回は事件・事故、経済指標の発表やFOMC・ 日銀政策決定会合などの為替を動かす要因になりうる点を除き、
何も考慮しなくていても月別の為替レートは理窟では説明つきにくい経験則『アノマリー』について考えてみます。
特に11月・12月のマーケットのアノマリーについての一考察です。
まずは、1997年から2019年までの過去23年(2019年は9月までの22年間)の傾向を振り返って見ることに。
(この期間におけるドル/円の値動きで基準値は日々のTTSとTTBの仲値を使い、そこから月平均のレートを使用)
1年でみてみると、一定の時期に同じ動きをする傾向がある場合があります。
これらの「アノマリー」を無視してトレーディングをすると大きな失敗をしてしまうことになるかもしれません。
23年間の月平均値をみると、
1. 4月・5月は円安に、10月から1月にかけても同じ円安傾向がみられます。
2. 1月と11月、7・8月は円高になっています。
3. 9月は円高も円安にもならなく比較的にニュートラルな状況で、3月も円安が1回だけでした。
4. 過去月別での23回(10月、11月、12月は22回)のうち、11月は実に22回中、年間円高/円安のどちらかを9回(7回円安、2回は円高)記録。
5. 12月は年間/円高円安を3回記録し、全て円安でした。
6. 3月~5月では月間円高/円安を記録した11回のうち9回が円安に。
7. 1月から2月は月間円高/円安が9回のうち6回が円高でした。
まとめてみると、
1月~3月は円高傾向
4月・5月は円安傾向
6月・7月はニュートラル
8月~11月(9月はニュートラル)は円高傾向
そして12月は円安傾向
ちょっと角度を変えて米国債の利払いベースで見てみると、2月・5月・8月・11月は円高傾向になりやすいとされています。
また、3月・9月は日本企業の決算で、ドル売り/円買いが発生し、円高傾向になりやすいです。
年間変動幅(月平均)
1997年から2010年の14年間で、2000年・2004年・2006年、2009年(9円86銭)以外の10年はドル円は値幅で10円以上の変動があり、
平均は約13円80銭で最高は1998年の24円でした。
2011年からの9年間では、10円以上の変動は3回、10円以下の変動は6回で平均5円43銭でした。
2017年以降、年間変動幅は5円台と大きく動きにくく推移しており、2019年も10月末現在で5円41銭のレンジ幅です。
1.10月と11月で見ると、2010年以降は9年連続円安に。
2.11月と12月で見ると、2009年以降2018年までの10年間は2015年・2018年(円高)と2017年(同値)以外7回は円安でした。
3.10月と12月を比べると2010年以降2017年まで8年連続円安でしたが、2018年は円高に。
以上の点から、11月は10月より円安に向かう(昨年を除けば8年連続で10月より12月は円安に)傾向になってます。
「2019年のストーリーはやはり年末に向け円安」なのでしょうか。
10月28日の米国時間に、ドル/円は8月1日以来3ヶ月ぶりとなる109円台に上昇し、一時109円04銭までつけました。
1977年から23年間の2019年までの月別平均の全ての平均値レートは108円60.5銭となっており、なんと現在のドル円レートとほぼ同じレートです。
(10月31日の日本時間10時30分現在108円65銭)
更に、過去23年のドル・円相場を月ごとに集計し、平均をとってみると、
4月109円92銭・10月107円01銭と4月の円安から10月に向け円高になり、11月から4月に向けて円安基調になる傾向がみられました。その差は2円91銭あります。
経験則なので確実ではありませんが、1997年からの23年間のドル/円のレート変動の傾向は決して無視できないのも事実ではないでしょうか?
年末に向けて
11月
10月までの流れが終わって、欧米のヘッジファンドが決算に向けてポジションを一旦決済し、2019年の収支を確定して年明けに向けての新たな動きが始まります。
2月と同様、米国債の利払い(11月15日)のため、米ドルで受け取った利子を円に換える需要が強まり、ドルが売られやすくなる。(円高傾向)
また5月同様、12月決算ヘッジファンドの「45日ルール」による取引も発生します。
12月
米国企業では12月決算企業が多いため会計年度決算があり、その前に欧米企業による海外の資金を自国に戻す(リパトリ)が発生 →
結果、外貨が買われる → 円安ドル高(円安傾向)になりやすいとされている
長期のクリスマス休暇を取り、その前に利益を確定させて1年が終わったと考える投資家が多く、
結果、会計年度末を控えて大きな損益のブレを嫌う → 取引を控える → 動きの少ない展開に。
12月は市場参加者が少なくなり、市場参加者が8月のサマーバケーション以上に減少します。
しかし、何か起こると少ない力(資金)でマーケットを動かしやすくなり、逆にマーケットは荒れやすくなる面もあると言われてます。
アノマリーに頼りすぎるのは禁物だけど...
アノマリーはあくまでも経験則なので、頼りすぎるのは禁物です。アノマリーの傾向が強く反映される年もあれば、それとは全く逆の動きをする年もあります。
ただ、23年間のドル/円のデータでみる限り、1年間の中で円高になりやすい月と円安になりやすい月があるということを知っておいても損はありません。