ブレグジット(Brexit)とは、2016年6月23日の国民投票に端を発する、イギリスのEU離脱を指した造語です。「British」と「Exit」から成る混成語です。
2010年代初頭、「EU加盟継続の是非を国民に問う国民投票の実施」をスローガンに掲げる、イギリス独立党の人気が高まりイギリス議会において一定の発言権・影響力を持つに至ります。デビット・キャメロン首相(当時)が2015年の英総選挙キャンペーン中に、国民投票の実施を約束したため、国民投票が2016年6月23日に実施されました。
この国民投票では、投票者の51.9%がEU離脱に賛成を表明。この結果により、イギリスはEU離脱(ブレグジット)に向けて動きだします。EU残留を訴えていたキャメロン首相は投票結果の責任を取って辞任。キャメロン政権で内務長官だったテリーザ・メイが首相職を引き継ぎました。
EU脱退を規定する「リスボン条約第50条」をイギリスが2017年3月29日に履行したことにより、2017年6月からイギリス・EU間の離脱交渉が始まりました、2019年3月29日に予定されたEU離脱を念頭に、人の移動、税関、VAT(付加価値税)など多岐にわたる議論を経て、2018年11月にイギリス政府とEUは離脱協定案で合意。
イギリス政府は協定案に基づく離脱を実現させるため、協定案を英議会に提出。まず英下院で審議が行われますが、与野党内の離脱強硬派が猛反対をし、反対432、賛成202の歴史的大差で離脱協定案は否決されました。
イギリスとEUは再交渉して修正案を作成しますが、英下院はこれも否決。3月29日のEU離脱期限までに、EUと離脱合意が結べないことが濃厚となり、2019年3月13日、英下院は離脱期限を延長させる動議を賛成多数で可決。
メイ首相はドナルド・トゥスクEU大統領と60日間の離脱期限延長について協議しますが、「協定案が議会承認されれば5月22日まで、再度否決されれば4月12日まで」という離脱延長で妥協。3月29日、メイ首相は3度目の離脱協定案採決に臨みますが、英議会は再度否決。離脱延長期限は2019年4月12日となりました。
メイ首相は最大野党・労働党のジェレミー・コービン代表との与野党協議を行う路線に方針転換。しかし、延長期限が近づいても離脱案代案をまとめることは出来ず、メイ首相はEU側に再度の延長を申請。現在もEU離脱交渉の先行きは不透明となっています。