買い持ち(かいもち)とは、外貨を買っている状態ですぐに売却せず長期間持ち続けることを指します。「買いポジション」「ロング(ロングポジションとも言う)」とも呼ばれます。
例えば、USD/JPY(米ドル/円)の買い持ちとは、円を売ってドルを買っている状態のことを表します。
ドルが将来値上がりすることが期待できる場合、投資家はドルの買い持ちを行います。そして、実際に値上がりしたときに買い持ち高を決済すると、その時の差額がFX取引で得られる利益となります。
買い戻しとは、売りポジションを反対売買により買い戻して、売りポジションを決済する行為を指します。FX取引は株式投資と異なり、売りからトレードを始めることができます。これがFX取引の大きな魅力の1つになっています。
例えば、ドル円の為替レートが下がっている状況で売りエントリーをして買い戻すことで、為替レートの下落から為替差益(キャピタルゲイン)を得ることができます。
買戻しを行う際には、スワップポイントに注意しましょう。一般的に、日本円を含む通貨ペア(例えば、ドル円)の売りポジションでは、日本の低金利政策の影響で金利差からマイナススワップが発生します。つまり、買戻しの際に、マイナススワップが損失として差し引かれることになります。
為替介入とは、外国為替市場で発生した自国通貨の為替レートの急激な変動を抑え、安定化させる目的で、中央銀行などの通貨当局が市場で外貨を売買することを言います。別名、「外国為替平衡操作」とも呼ばれます。
日本では、円相場の安定を実現するための措置として、財務大臣の権限で実施されます。急激な円高が観測された状況では円売り介入が行われ、円安が極端な場面では円買い介入が実行されます。
例えば日本銀行が相場を安定させるため円を買うことを「円買い介入」、逆に円を売ることを「円売り介入」といいます。
ただし、為替介入は自国経済に有利な為替レートへ誘導する性質から、市場をゆがめる行為であると言え、国際経済ではしばしば非難の対象となります。
為替相場とは、外国為替取引(FX取引)における2通貨間の交換レートのことを言います。「為替レート」とも呼ばれます。
より詳しい説明は以下の「為替レート」の項目をご覧ください。
為替レートとは、外国為替取引(FX取引)における2通貨間の交換レートのことを言います。「為替相場」とも呼ばれます。
FX取引では、特定の通貨の買い注文だけでなく、売り注文からでも始めることができるだけ、FX会社は通貨の買い値と売り値の2つを提示しています。FX取引における買値を「ビッド」、売値を「アスク」または「オファー」と呼びます。
例えば、経済ニュースで、「米ドルは現在、1ドル110円60銭(110.60円)から110円70銭(110.70円)で取引されています」というフレーズを耳にするかと思います。これは、1ドルを購入するためには110.70円を支払う必要があり、逆に1ドルを支払えば110.60円を得られるということを意味します。為替レートは株価のように日々変動しています。
因みに、上の例における差額10銭が「スプレッド」と呼ばれる取引手数料であり、FX会社の利益となります。
カントリーリスクとは、自国通貨の為替レートを下げるリスクのことを言います。投資対象となる国の信用力を表す尺度として表現されます。「ソブリンリスク」とも呼ばれます。
国内政治の安定度、国民一人あたりの所得、貿易収支・国際収支、その他国内情勢の変化がカントリーリスクに影響を与えます。一般的に、中東や中南米など国内情勢が不安定な国・地域はカントリーリスクが高く、日本や米国など国内情勢が安定している国はカントリーリスクが小さいと判断されます。
カントリーリスクは世界中のすべての国に存在し、ムーディーズなど民間の格付け機関が具体的な数値や危険度を算出・公表しており、先進国と言えども、経済状況によってはカントリーリスクが高まっていると判断される場合もあります。
外貨準備とは、国の金融当局が保有している外貨のことを指します。この外貨準備は、対外債務の返済、為替介入、輸入代金決済などに充てられます。
一般的に、外貨準備は、外貨資産(預金、証券など)、IMFリザーブポジション(IMF(国際通貨基金)加盟国が出資金に応じてIMFから借りられる与信相当額)、金、SDR(IMF加盟国が持つ特別引出権)などから構成されます。
日本では、財務省・日本銀行が外貨準備を保有しています。金融当局が保有している外貨準備のことを「外貨準備高」と呼ばれています。日本の外貨準備高は財務相によって「外貨準備等の状況」として、毎月公表されています。
外貨準備高が大きければ対外支払い能力が高いと評価され、日本は世界トップクラスの外貨準備保有国です。
外国為替とは、2つの異なった通貨を交換することをいいます。 例えば、海外旅行の際に、日本円を米ドルに両替することも外国為替に当てはまります。「外国為替取引」とも呼ばれます。 英語では、「Foreign Exchange」と表記され、この頭文字を用いて「FX」または「FX取引」と呼称されることが多いです。
2通貨を交換するときの交換比率を「為替レート」と言います。 「1ドル110円」というレートは、110円支払えば1ドルを購入できる、1ドル支払えば110円を購入できるということを意味しています。
この為替レートは日々刻々と変動しています。
外国債券とは、発行者・発行通貨・発行場所のいずれかが自国のもの以外となっている債券を言います。「外債」「外国債」とも呼ばれます。
外国債券への投資は、海外の高金利と為替差益を目的に行われますが、為替レートによっては金利収益が相殺されてしまうこともあるので注意が必要です。一般的に、外国債券には「外貨建て外国債券」「円建て外国債券」「二重通貨建て外国債券」という区別があります。
「外貨建て外国債券」は、元本の払い込み、利払い、償還の全てが外貨建てで行われる債券です。発行者や発行場所について指定は特にありませんが、外国企業や外国政府などが日本で発行する外貨建て債券は「ショーグン債」と呼ばれます。主な例としては、米ドル債(米ドル建て債券)やユーロ債(ユーロ建て債券)などがあります。
「円建て外国債券」は、元本の払い込み、利払い、償還の全てが円建てで行われる債券です。円建てであるため、日本人投資家にとっては為替リスクがありません。外国企業や外国政府などが日本で発行する円建て債券は「サムライ債」と呼ばれます。
機関投資家とは、個人投資家とは別に、顧客や会員から集めた大きな資金を使って、株式・債券・FX・商品先物などを運用する企業・団体のことを指します。
一般的に、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関、ヘッジファンドなど、が機関投資家に該当します。機関投資家は個人投資家よりもずっと大きな金額を運用しているため、その売買によって価格が変動することもあり、市場に与える影響は大きいです。
具体的な運用手法は各企業・団体によって異なりますが、基本的に機関投資家は数年から数十年にかけての長期運用を行っています。顧客や会員の資産を運用しているため、機関投資家は厳格なリスク管理と投資のルール遵守が徹底されています。
危険資産とは、株式や社債、不動産など、将来の収益の予測がとても困難な資産のことを言います。リスク資産とも呼ばれます。
一般的に、危険資産は元本割れの可能性があり、元本回収が確実ではありません。高利回り(ハイリターン)が期待できる一方で、大きな損失を受ける可能性(ハイリスク)もあります。
危険資産に対して、預貯金や国債など、予め将来の収益が確定している資産のことを安全資産と呼びます。
基軸通貨とは、世界経済において最も影響力が強く、輸出入や国際金融取引で基準となる支払い手段として扱われる通貨のことを指します。「キーカレンシー(Key Currency)」とも呼ばれます。
ある通貨が基軸通貨として認められるには、以下の条件を満たしている必要があります。
1.国際間の貿易・資本取引に広く使用される決済通貨であること
2.その通貨の価格変動が安定していること
3.対外取引が容易であること
第二次世界大戦以降、現在は米ドルが基軸通貨として認知されています。世界経済を主導している国の通貨が基軸通貨の地位を得ることが多く、第2次大戦以前は、英ポンドが基軸通貨として扱われていました。
キャピタルゲイン(Capital Gain)とは、株式や外貨など保有している資産価格の変動によって得られる利益のことを言います。FX取引におけるキャピタルゲインについては、「為替差益」とも呼ばれます。
例えば、ドル円を110.80円で1lot(10万通貨)購入し、111.20円で売却した場合、40,000円の利益が得られます(0.4円×10万通貨)。この利益がキャピタルゲインです。
しかし、資産価格が下がって損失が発生することもあります。この価格変動によって生じた損失のことをキャピタルロス(Capital Loss)と呼びます。
一般的に投資から得られる主な収益は、このキャピタルゲインとインカムゲインの2つになります。インカムゲインについては、以下の解説をご覧ください。
キャピタルロス(Capital Loss)とは、保有している株式や外貨などの資産価格の変動によって発生する損失のことを言います。
価格が下がった場合にキャピタルロスが生じるケースは想像しやすいかもしれませんが、FX取引では売りと買いの両方から注文を発注できるため、売りポジションを保有している状態では外貨の価格が上昇するとキャピタルロスが発生しますので、ご注意ください。
因みに、価格変動によって得られる利益のことをキャピタルゲイン(Capital Gain)と呼びます。
協調介入とは、為替相場の急激な乱高下により世界経済が混乱することを阻止するため、多国間で協調して為替介入を行うことをいいます。為替介入については、以下の解説をご覧ください。
協調介入は、一か国で為替介入をする場合と比較して、その為替レートを安定させる効果は飛躍的に大きくなります。協調介入の代表例としては、1985年のプラザ合意後に実施されたドル売り協調介入、1987年のルーブル合意後のドル買い協調介入が挙げられます。
金融政策とは、自国経済の成長と国内の物価安定のために、中央銀行が行う経済政策のことを言います。日本では、日本銀行が金融政策を決定・実施しています。
日本銀行|海外FXお役立ちガイド
金融政策の目的は国内経済の拡大と物価・通貨価値の安定にあります。これを実現するための施策として、各国中央銀行は、政策金利の調整、公開市場操作による市場金利や通貨供給量などを行っています。
各中央銀行はこれらの金融政策を決定する、会合を定期的に開催しており、そこでの決定内容や会合後の中央銀行総裁の発言は、為替相場に大きな影響を与えます。例えば、米国のFOMC、日本の金融政策決定会合、EUのECB理事会がFX市場ではとくに注目を集めています。
金融政策決定会合とは、日本銀行が国内の金融政策に関する事項を協議・決定するために定期的に開催する会合です。公開市場操作による市場金利や通貨供給量、市中銀行の日本銀行に対する預金準備率などを決定しています。
2016年以降、金融政策決定会合は年8回開催されており、日銀総裁、副総裁2名、審議委員6名の合計9名により構成されています。会合は非公開ですが、出席者による承認を以て次回会合が開催されてから3営業日後に、前回の会合議事要旨が公表されます。この日銀会合要旨はFX取引にとって、重要な指標として位置づけられています。
また、会合終了後に開かれる日銀総裁の記者会見での発言内容も為替レートに大きな影響を与えます。
逆イールドとは、債券市場において、満期までの期間が短い債券の利回りが、満期が長い債券の利回りを上回ることを言います。つまり、短期金利が長期金利よりも高くなる現象を指します。
短期金利|海外FXお役立ちガイド
長期金利|海外FXお役立ちガイド
一般的に、債券・金利の世界では、期間が長くなるにつれて利回りも高くなります。しかし、金融不安や景気後退への懸念が高まったり、インフレ率が高まるなど、遠い将来よりも近い将来のリスクが意識されると、長期債よりも短期債の需要が増えます。これにより、長期金利と短期金利の水準に逆転現象が生じます。
因みに、過去の経験則より、「米国債券市場で逆イールドが発生すると、1~2年後に景気後退に陥る可能性が高い」と言われています。
逆指値注文とは、FX取引の注文方法1つで、売買希望価格をあらかじめ指定して出される注文になります。「ストップオーダー(Stop Order)」とも呼ばれます。
売買価格を指定する点では指値注文と同じですが、逆指値買い注文が「現在の為替レートよりも高い価格を指定して買いエントリーする注文」であり、逆指値売り注文が「現在の為替レートよりも安い価格を指定して売りエントリーする注文」である点が、指値注文と異なります。
具体的な逆指値買い注文と逆指値売り注文の解説については、以下の記事をご覧ください。
逆ざやとは、株式や外貨など保有している資産の価値が価格変動によって、保有時点よりも安くなり、損失が発生している状態を指す。「含み損」とも呼ばれます。
「逆ざや」は他の意味でも使われることがあります。例えば、値上がりすると期待されている銘柄が安くなった状態、または値下がると予想された銘柄が高くなった状態についても、「逆ざやが発生した」と表現します。
一方、価格変動によって、保有している資産の価値が保有時点よりも高くなっている状態のことは、「利ざや」と呼びます。
逆張りとは、株式やFX取引において、マーケットのトレンドとは逆方向の取引をすることを言います。
例えば、ドル円が上昇トレンドに入っているときに売り注文を入れる、ドル円が下落トレンドに入った時に買い注文を入れる、といったものが逆張りになります。
トレンドが転換するタイミングを見極めて逆張りすることができれば、大きな利益を上げることができます。逆張りで利益を上げるには、トレンドの「天井」と「底」をある程度把握するためのFX取引の経験が必要となります。
また、往々にして為替レートは想定とは違う動きをすることも多く、逆張りが裏目に出て含み損を抱えてしまうこともあるため、逆張りはハイリスクハイリターンな取引手法と言えます。
反対に、トレンドの流れに従って売買することを、順張りと言います。
口先介入とは、実際に通貨の売買を通じて市場への介入を行うのではなく、政府関係者や金融当局者が自国通貨の為替レートに影響を及ぼすような発言を意図的に行うことを言います。
例えば、円高が進んだ際に、日銀総裁が「円高は望ましくない」などと発言をすることがありますが、このように現在の為替レートに関する見方を表明することも相場に影響を与えるため、口先介入に含まれます。
一般的に、中央銀行要人の定例記者会見などの発言が口先介入と見られる場合が多いですが、2016年に就任したトランプ米大統領はその歯に衣着せぬ言動のため、その発言がしばしば相場に影響を及ぼしています。
クロス取引とは、米ドルを介さない為替取引のことを言います。つまり、米ドルが含まれていない通貨ペアを取引することです。
例えば、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、NZドル円等の通貨ペアの取引は「クロス円」と呼ばれます。現在の基軸通貨は米ドルですが、円も米ドルに遜色ない流通量があるため、クロス円通貨ペアはFX市場で人気のある取引銘柄となっています。
景気動向指数は、日本の内閣府が毎月発表する、日本の景気動向を総合的に示す経済指標です。生産、投資、雇用、物価など、景気に敏感に反応する指標を統合して算出されます。
景気動向指数には、「CI(コンポジット・インデックス)」と「DI(ディフュージョン・インデックス)」の2つがあります。CIは景気拡大・後退の速度や程度を表すのに対して、DIは採用している指標のうちで景気拡大・後退を示しているものの割合を表しています。
従来はDIが重視されていましたが、2011年以降、CIとDIの両方で景気動向を分析する手法が採用されています。
経済成長率とは、一定期間(四半期、1年間など)における一国経済の成長する度合いのことです。経済成長率を示す主要な尺度としては、国民総生産(GNP)や国内総生産(GDP)の変化率などが使われています。
GNP|海外FXお役立ちガイド
GDP|海外FXお役立ちガイド
経済成長率には、名目成長率と実質成長率の2つがあります。名目成長率は、その年の一国の経済活動の規模をその時点の市場価格に基づいて計算されます。一方、実質成長率は物価変動による価値の変化の影響を排除して計算されます。
経常収支とは、一国の国際収支のうち、金融資産取引を除いた、財やサービスの取引に関わる収支の合計です。
国際収支|海外FXお役立ちガイド
経常収支は、「貿易収支」「所得収支」「サービス収支」「経常移転収支」の4つを合計して算出され、一国の対外的経済力の大きさを表す指標です。貿易収支は輸出額と輸入額の差額です。より詳しくは、以下の解説をご覧ください。
貿易収支|海外FXお役立ちガイド
「所得収支」は国内企業が海外で得た収益と外国籍企業が国内で得た収益の差額です。「サービス収支」とは、外国人旅行者が国内で支出した金額と国民が海外で支出した金額の差額です。そして、これら3つに当てはまらない取引(例えば、外国への経済援助、国際機関への拠出金など)によって発生した金額が、「経常移転収支」に含まれます。
経常収支がマイナスの状態を経常赤字と呼び、プラスである場合、経常黒字と言います。日本の経常収支は2016年現在、30か月連続で黒字状態にありますが、2011年以降、貿易収支の赤字拡大のため減少が続いています。因みに、2016年12月の経常黒字額は1.11兆円となっております。
気配値とは、株式やFXなどの取引市場における、売り方と買い方のそれぞれが希望する取引価格のことです。
気配値のうち、売り注文に対して提示される価格を、「売り気配値」もしくは「アスク」と呼びます。
一方、気配値のうち、買い注文に対して提示される価格を、「買い気配値」もしくは「ビッド」と呼びます。
この売り気配値と買い気配値の差額がスプレッドとなります。
ケース・シラー住宅価格指数とは、世界最大級のインデックス算出企業であるS&Pダウジョーンズインデックス社が毎月発表している、米国住宅価格の水準を示す経済指標です。
全米の調査対象地域における、一定期間の住宅売買のデータを集計して算出されます。2000年1月の価格を100として、100を上回ったら、住宅価格は高騰気味であると判断されます。逆に、100を下回ったら、値下がり傾向にあると解釈できます。この指標は1980年代に、カール・ケースとロバート・シラーという2名の経済学者によって考案されました。
ケース・シラー住宅価格指数は米国住宅価格の動向を読み取る上で、最も一般的な指標となっています。
現受けとは、FX取引において保有している買いポジションを差金決済(反対売買)して解消するのではなく、対価を支払って外貨としてそのまま受け取ることを言います。 一方、現渡しとは、保有している売りポジションについて、外貨を相手方に支払いその対価を受け取る取引を指します。
例えば、ドル円の買いポジションの現受けでは、ペアの対になっている円を実際に支払うことで買いポジションとして保有しているドルを外貨として受け取ります。ドル円の売りポジションの現渡では、売りポジションの価格をドルで支払い、その対価として同等の円を受け取ります。
出張や旅行などで外貨を頻繁に必要する場合、現受けを行って外貨を確保できるのは便利かもしれませんね。
購買力平価説(Purchasing Power Parity, PPP)とは、外国為替レートの決定要因を説明する考え方の1つで、為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決定されるという説です。1921年にスウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルが『外国為替の購買力平価説』として発表しました。
購買力平価には絶対的購買力平価と相対的購買力平価の2つの考え方があります。絶対的購買力平価では、2国における、同一商品に対する価格がその2国の為替レートを決定するとしています。例えば、アメリカで1ドルのハンバーガーがあるとして、同じハンバーガーが日本で100円で買えるとするとき、1ドルと100円で同じものが買えるため、為替レートは1ドル=100円が妥当であるとされます。しかし、絶対的購買力平価が成立するためには、全ての財・サービスが自由に貿易されていることが前提であるため、現実的ではないと考えられています。
一方、相対的購買力平価は、為替レートは2国間の物価上昇率の比率で決定されるという説です。現在では、こちらの考え方が主流となっています。
国際収支とは、一定期間におけるある国の対外経済取引の総計をまとめたものです。外国からのお金の受け取りと外国への支払いをまとめた、一国の家計簿と考えることができます。
世界のほとんどの国・地域において、国際収支は国際通貨基金(IMF)が策定した国際収支マニュアルに則って作成されています。そのため、各国間の収支状況を容易に比較することができます。日本では財務相と日本銀行が毎月国際収支を作成しています。
国際収支は、経常収支、資本移転等収支、金融収支の3つから構成されています。
国際通貨基金とは、第二次世界大戦後に国際金融や外国為替相場の安定を図る目的で設立された国際連合の専門機関です。正式名称は「IMF(International Monetary Fund)」と呼ばれます。
国際通貨基金の本部は、アメリカのワシントンD.C.にあります。1944年のブレトン・ウッズ会議で同基金設立が決定されました。日本がIMFに加盟したのは、1952年8月で、2018年現在、IMF加盟国は189ヶ国となっています。
IMFの主な任務は加盟国の為替政策を監視し、加盟国出資金を原資として、国際収支が悪化した加盟国へ融資などを実施しています。こうした行動により、国際貿易の促進、加盟国の雇用・国民所得の増大、 為替相場の安定の実現に寄与しています
世界銀行とともに、国際近秩序の基盤を担っています。
固定相場制とは、為替相場の価格を一定の値に固定、または相場の変動を制限する制度のことです。1944年に国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行が設立され、金と米ドルの交換レートを固定化し(金1オンス=35ドル)、常に米ドルは金と交換可能と定められました。これにより、米ドルを基軸通貨とするIMF体制が始まりました。
固定相場制下では、ドル円相場は1ドル=360円と固定されていました。このように、自国通貨のレートを米ドルに連動させることをドルペッグ制と呼びます。
固定相場制のメリットは為替変動がないため貿易が安定することが挙げられます。その一方で、自国通貨の金利が相手国金利に影響されてしまうというデメリットも存在します。
為替レートの変動により経済が不安定になってしまうような経済的基盤の弱い多くの国では、固定相場制が採用される事が多いが、中央銀行の金融政策が為替相場の維持を目的としてしまうため、 自国における物価安定や景気刺激策としての金融政策を利用出来なくなり、継続的に不安定な経済状況を生み出す原因となる事が多いと言えます。
固定相場制は1973年に終わりを迎え、以後、変動相場制へ移行しました。
ゴールデンクロスとは、2本の移動平均線を使ったテクニカル分析指標で、買い取引のサインとして利用されます。株式、FXなど幅広く適用可能です。
下図のように、短期線(例えば、25日移動平均線)が長期線(75日移動平均線)を下から上に突き抜けている状態を、ゴールデンクロスと呼び、買い注文のシグナルであると判断されています。テクニカル分析の中でも、比較的シンプルな理論であるため、FX初心者でもすぐに採用できる取引戦略です。
ただし、ゴールデンクロスは予想しやすいサインであるため、実際には為替レートが上がらない「騙し」が発生する場合もあります。ゴールデンクロスと他の分析指標を組み合わせることで、精度を挙げることがポイントになります。
一方、移動平均線を利用した売りサインは、デッドグロスと呼ばれています。